お年寄りでも使いやすい?シニア向けスマホ徹底解説&おすすめ4選

情報端末でありコミュニケーションツールでもあるスマートフォン(スマホ)。遠方の家族や友人とのやり取りも容易になり、オンラインで買い物や手続きを済ませたり、ちょっとした隙間時間に情報収集ができたりと、日常生活の多くの場面で欠かせないツールとなっています。

とはいえ、いわゆるフィーチャーフォン、別名「ガラケー」と呼ばれる携帯電話を長年使ってきたシニア世代からすると、スマホは自由度が高すぎて扱いづらいもの。携帯電話キャリア各社がガラケーの販売を中止していることもあり、シニア世代からすると「スマホに乗り換えなきゃ」と焦りますし、その子世代からすると「うちの親に持たせるならどれがいいのだろう」と悩んでしまいます。

今回はシニア向けに設計された各種スマホについて、そのメリット・デメリット、主要機種の特徴やケースごとのおすすめについて詳しく紹介します。シニア世代の方々や、そのご家族が最適なスマホ選びをする際に、ぜひ参考にしてみてください。

シンプル設計のシニア向けスマホ、その特徴と選ばれる理由

KenSoftTH / Shutterstock.com(NTTドコモ歴史展示スクエア)

image by KenSoftTH / Shutterstock.com(NTTドコモ歴史展示スクエア)

現在、多くの携帯電話キャリアが3Gサービスの終了を予定しており、これに伴い従来のガラケーは使用できなくなっています。auは2022年3月に3Gサービスを終了し、ソフトバンクは2024年4月に終了。NTTドコモも2026年3月末に3Gサービスを終了する計画です。

ガラケーの見た目で一部スマホの要素を持つ「ガラホ」もありますが、今回はシニア向けスマホに焦点を当てて、そのメリットやデメリットを見てみましょう。

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シニア向けスマホのメリット

操作性◎

らくらくスマートフォン(らくスマ)をはじめとするシニア向けスマホは、どの年齢層の方でも使いやすいように設計されているため、最初から各種テキストが大きな文字で表示されていたり、操作メニューもシンプルで直感的です。通常のスマホと比べて視認性も非常によく、スマホ初心者でも扱いやすい作りになっています。

スマホらしい多機能性は維持

シンプルな設計ではありますが、インターネットの閲覧、各種アプリの利用、高品質なカメラ機能など、スマホならではの多彩な機能はそのまま活用できます。

サポートが充実

各携帯電話キャリアはシニア向けのサポート体制を整えており、困ったときにすぐに相談できる「押すだけサポート」や、迷惑電話対策機能、使い方講座や専用のサポート窓口など、安全・安心に使える機能が充実しています。

シニア向けスマホのデメリット

月額料金の増加

ガラケーに比べ、スマホはデータ通信量が多くなる傾向があるため、月々の料金がガラケーより高くなる可能性があります。

操作方法の変化

タッチパネル操作など、使用方法がガラケーから一新されるため、慣れるまで時間がかかる場合があります。

不要な機能による混乱

シンプルなシニア向けスマホでも、使わない機能やアプリがあれば混乱を招くことも。

例えば、モバイルガジェットや高性能カメラなどがお好きな方には通常のスマホがおすすめです。PCを普段から使っていたり、メールを頻繁に利用したりする方であれば、シニア向けスマホへの切り替えはプラスになるでしょう。

一方で、通話のみの使用であれば、ガラホの使用を検討することをおすすめします。メリットとデメリットを十分に理解し、使用者の使用目的やライフスタイルに合った選択をすることが重要です。

シニア向けスマホのおすすめ4選&スペック比較

シニア向けスマホといっても、その機種はさまざま。スマートフォンとして人気の高い「らくらくスマホ」シリーズの最新機種など、2025年2月時点で購入できる主要機種をご紹介します。各機種の特徴やスペックを比較し、最適な選択の参考にしてください。

らくらくスマートフォン F-53E / FCNT

F-53E

▲画像出典:NTTドコモ

シニア向けのスマホといえば、やはり「らくらくスマートフォン」でしょう。2025年1月に発売されたばかりの「らくらくスマートフォン F-53E」は、約5.4インチの大画面に、屋外でも見やすい有機EKディスプレイが特長です。物理的なホームボタンも備えているため、初めてスマホを使用する方でも直感的に操作できます。

さらに画面を「触れる」と「押す」の違いをしっかり認識し、誤操作を防止する「らくらくタッチパネル」も搭載しています。カメラも光学手ブレ補正付きの5030万画素と、暗いところでも明るく撮影することが可能。128GBのメモリがあるため、写真や動画の容量を気にせず撮影できます。

また、毎日の自律神経の状態を測定できる面白い機能が搭載されています。背面カメラの下にあるセンサーでデータを計測し、自律神経の活性度と交感神経・副交感神経のバランスを表示してくれます。さらにアプリを使用すれば、自律神経の活性化に繋がる生活習慣のヒントを確認できます。

スペック(Google Pixel 9)

ディスプレイ:約5.4インチ Full HD+/有機EL

バッテリー容量:4000mAh(内蔵電池)

カメラ:アウトカメラ約5030万画素/約800万画素、インカメラ約1610万画素

内蔵メモリ:RAM 4GB/ROM 128GB

通信速度通信速度:受信時最大2.1Gbps、送信時最大218Mbps

サイズ:約151(H)×約71(W)×約9.3(D)mm

重量:約173g

SIMカード:nanoSIM/eSIM

防水性能/防塵性能

防水・防塵:IPX5/8 IP6X

おサイフケータイ:FeliCa

生体認証:指紋・顔

その他:ハイレゾ、緊急時ブザー、音声読み上げ機能、らくらくタッチ、FMラジオ(アプリ使用)

AQUOSwish3(かんたんモード使用)/シャープ

AQUOSwish3

▲画像出典:NTTドコモ

2023年にシャープから発売された「AQUOS wish3」は、約5.7インチのHD+ディスプレイを備えたコンパクトで扱いやすいモデルです。SIMフリーに対応しているため、幅広いプランから選択できます。コンパクトながらバッテリー容量も3,730mAhと大容量で、長時間の使用にも耐えられます。

カメラには被写体や撮影環境を即座に検出し、自動で的した設定を行う「AIオート」機能を導入。さらに明るい場所の白飛びや、暗い場所の黒つぶれを抑えた撮影ができる「オートHDR」にも対応しています。

スペック(Google Pixel 9)

ディスプレイ:約5.7インチ HD+/TFT

バッテリー容量:3730mAh(内蔵電池)

カメラ:アウトカメラ約1300万画素、インカメラ約500万画素

内蔵メモリ:RAM 4GB/ROM 64GB

通信速度通信速度:受信時最大5G 1.9Gbps/4G(LTE) 400Mbps、送信時最大5G 218Mbps/4G(LTE) 75Mbps

サイズ:約147(H)×約70(W)×約8.9(D)mm ※11

重量:約161g

SIMカード:nanoSIM/eSIM

防水性能/防塵性能:IPX5/7、IP6X

おサイフケータイ:FeliCa

生体認証:指紋・顔

BASIO active2 /シャープ

BASIO active2

▲画像出典:au

2024年発売の「BASIO active2」の大きな特長は、3つの物理ボタンを搭載している点です。押しやすく直感的に使用しやすいデザインのため、スマホ初心者でも安心して使用できます。

BASIO active 2は独自の迷惑電話対策機能を備えています。電話帳に登録されていない番号や非通知からの着信時には、応答前に自動音声で相手の名前や用件を確認する「出る前確認」機能を搭載。通話中に不審な点を感じた際には、専用ボタンを押すことで自動音声とともに通話を切断する「迷惑ストップ」機能も利用可能です。

さらに、親にスマホを持ってもらいたい子世代として嬉しいのが、「元気だよメール」という通知機能です。1日の初めにスマホを起動した際や電池残量が20%になった際に、事前に登録しておいた連絡先に通知が届くというもの。

歩数計を使用している場合は、メール本文に歩数情報も含まれるので、活動状況もしっかり確認できます。毎日使うスマホだからこそ、こういった見守り機能があると安心できますね。

スペック

ディスプレイ:約5.7インチ TFT

バッテリー容量:4000Ah(内蔵電池)

カメラ:アウトカメラ約5030万画素、インカメラ約800万画素

内蔵メモリ:RAM4GB/ROM64GB

通信速度通信速度:受信時最大5G 2.1Gbps、送信時最大5G 218Mbps/4G(LTE) 75Mbps

サイズ:約158(H)×約71(W)×約9.4(D)mm

重量:約174g

SIMカード:nanoSIM/eSIM

防水性能/防塵性能:IPX5/8、IP6X

おサイフケータイ:FeliCa

生体認証:指紋・顔

Google Pixel 6以降(シンプル設定利用時/各社)

Google Pixel 9

▲画像出典:NTTドコモ(写真は「Google Pixel 9」)

Googleの「Pixel」シリーズは、iPhoneやGalaxyに並ぶ人気機種のひとつです。特に最新機種である「Pixel 9」シリーズでは、高性能なAIアシスト機能が搭載されており、音声認識や翻訳機能も充実しています。

Pixelは通常のスマホ(Android)ですが、「シンプル設定」というカスタマイズを行うことで、シニア向けスマホと同等の使いやすさを実現できます。

表示サイズとフォントサイズが拡大され、視認性がアップ。ホーム画面も基本ツールが見やすく配置されています。さらにタッチ操作の感度も向上するため誤操作も軽減され、操作性を向上させることができます。

スペック(Google Pixel 9)

ディスプレイ:約6.3インチ/OLED

バッテリー容量:4700Ah(内蔵電池)

カメラ:アウトカメラ約5000万画素/約4800万画素、インカメラ約1050万画素

内蔵メモリ:RAM12GB/ROM128GB2、56GB

通信速度通信速度:受信時最大4.2Gbps、送信時最大286Mbps

サイズ:約152.8(H)×約72(W)×約8.5(D)mm

重量:約198g

SIMカード:nanoSIM/eSIM

防水性能/防塵性能:IPX8、IP6X

おサイフケータイ:FeliCa

生体認証:指紋・顔

ハイレゾ、ワイヤレス充電

シニア向けスマホを購入する際の注意点

キャリアの選択肢

シニア向けスマホは主にNTTドコモやワイモバイル、auなどの携帯電話キャリアから提供されています。各キャリアによって取り扱う機種やサービスが異なるため、既存の契約・利用状況や希望に合わせて選ぶことが大切です。

例えば、NTTドコモの「らくらくスマートフォン」シリーズはシンプルな操作性が特長で、専用のサポート窓口も利用できる手厚さが魅力です。一方、ワイモバイルの「らくらくスマートフォンa」は手頃な価格で提供されており、基本的な機能が充実しています。

シニア向けの料金プラン

各携帯電話キャリアでは、シニア向けの特別な料金プランが用意されています。NTTドコモの「スマホデビュープラン」は、初めてスマートフォンを利用する方に適したプランで、1年目は月額990円(税込)から利用可能です。ただし、2年目以降は月額料金が上がる点に注意が必要です。

LINE通話などアプリを使用せず、通常の通話が多い場合は、通話オプションの内容や料金も確認しておきましょう。

サポート体制の有無

スマホの操作に不安がある場合、サポート体制が充実しているかも確認しましょう。NTTドコモの「らくらくホンセンター」では、専用のオペレーターが無料で操作に関する相談に応じています。

また一部の機種では、オペレーターと画面を共有し、遠隔操作でサポートを受けられる機能もあります。購入前にサポート体制や最寄りの店舗でのサポート内容を確認しておくと安心です。

オプション機能の確認

シニア向けスマホには、見守り機能や位置情報共有など、家族にとっても嬉しい便利なオプション機能が搭載されている機種もあります。

怪しい電話やメッセージを事前に警告してくれる機能や、健康管理をサポートするアプリが搭載されている機能があったりと、その内容はさまざま。これらの機能が自分のニーズに合っているかを確認し、必要な機能が備わっている機種を選ぶことが大切です。

どれがベスト?ケース別おすすめスマホを再確認

今回ご紹介した機種を、さらにケース別でおすすめを分けると、以下のようになります。

1. スマホ初心者には「らくらくスマートフォン F-53E」(NTTドコモ)

最新機種である「らくらくスマートフォン F-53E」は、初めてスマホを使う方に最適なモデルです。約5.4インチの大画面有機ELディスプレイを搭載し、視認性が高く、シンプルなユーザーインターフェースと音声アシスト機能により、直感的な操作が可能。防水・防塵対応で、日常の使用でも安心です。

2. 写真や動画撮影を楽しみたい人には「BASIO active2」(au)

「BASIO active2」は、写真撮影を積極的に楽しみたい方におすすめのスマホです。2024年発売ながら、カメラは非常に高性能。物理ボタンを搭載しており、押しやすく操作性に優れているだけでなく、耐衝撃設計により、落下などの衝撃にも強いため、アクティブに使いたい方にぴったりなはず。

3. 格安SIMを使いたい人には「AQUOS wish3」(かんたんモード使用時)/ワイモバイルまたは楽天モバイル

「AQUOS wish3」は、格安SIMでの運用を考えている方に適したモデルです。コンパクトで扱いやすいサイズ感が特徴で、SIMフリー対応により、さまざまな通信プランをお得に選択できます。バッテリーの持ちも良いので、長時間の使用でも安心です。

4. 将来的に機能を増やしたい人には「Google Pixel 6」以降(シンプル設定利用/各社)

シニア向けスマホでない「Google Pixel 6」以降であれば、シンプル設定を利用できるため、ハイスペックなAndroidスマホの機能を維持しつつ、使いやすさを得ることが可能です。そのため使い方に慣れた後、将来的に多機能なスマホへの移行を考えている方におすすめです。

親も子も安心して使える「シニア向けスマホ」という選択肢

シニア向けスマホは複数ありますが、どれもスマートフォン初心者でも使いやすい設計が施されています。操作性はもちろん、大きな画面や文字表示、専用のサポート機能など、シニアユーザーのニーズに応える特長が魅力です。

ただし、注意したいのは、シニア向けスマホの使用者を誰がサポートするのかという点です。本人であればサポート体制が充実している機種がベストですが、子世代が親のスマホをサポートするとなると、自身が普段使用しているスマホとの違いに戸惑うことも。

周囲の人や家族とよく話し合って機種を選ぶことで、使用者のライフスタイルや好みに合った最適なスマホを見つけることができるはずです。

文・イラスト:ミズサワカノン 編集:木崎・稗田/なるモ編集部

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